AMPとかInstant Articlesってメディアやブログにとっては結構でかい意味があると思う。

最近のことですが、AMP や Instant Articles がちょっと話題になっていますね。

これって、技術的なことよりも、SEOがどうしたということよりも、こういうものが出てきたことは偶然ではなくて、今後のコンテンツパブリッシングの仕方が変わる兆しであって、必然なんじゃないかと思います。

ということで、AMP とか Instant Articles って何か?それがメディアやブロガーやウェブサイトを持つ人にどういう意味を持つのか、WordPress とこれらの関係は?ということについて、ちょっと書いてみました。

目次

AMP とか Instant Articles って何?

そもそも、これってなんなのでしょうか、というところを簡単におさらいします。

AMP とは

まず AMP の字面は、Accelerated Mobile Pages の略で、「高速化されたモバイルページ」の意味ということでよいと思います。

Google とTwitter が立ち上げたオープンソースのプロジェクトだそうです。

ちゃんと見てないのでものすごくザックリですが、具体的には form や iframe などの表示に時間がかかったりブラウザに依存したりするものを排除した、簡易型の HTML を作っておいてください、と。

スタイルシートについても、リンクではなくて<head />内に書いてくださいね、と。HTML について以外にも、AMP JS や AMP CDN などスクリプトや CDN についての規格を決めているようです。詳しくは、amphtml/amp-html-format.md at master · ampproject/amphtml で仕様が読めます。

WordPress のサイトであれば、AMP — WordPress Plugins をインストールして対応することが可能です(が、まだいろいろと調整中のようなので、待つのがいいと思います)。

このサイトでも個別記事のURL の末尾に /amp を追加すると一応 AMP HTML が出力されます。

Instant Articles とは

Instant Articles は日本語では、インスタント記事というそうです。

あわせて読みたい
このページを見るには、ログインまたは登録してくださいFacebookで投稿や写真などをチェックできます。

こちらは Facebook が作った仕様にのっとって、RSS のような専用 Feed を作ってね、ということのようです。

こちらについてもWordPress のプラグインの開発が進んでいるようで、 Automattic/facebook-instant-articles-wp で確認、インストールなどができます。このサイトでも有効化してみまして、ここをクリックすると、Feed 自体はどんなものなの?というのを確認できます。簡易版RSSみたいなイメージですかね。

AMP や Instant Articles を導入するとどうなるのか。

AMP ではスマートフォンで Google 検索をした際にプリロード(記事コンテンツの先読み)が発生して 、ユーザーがクリックするとコンテンツが即時表示(超速い)されます。また、Twitter ではどうなるのか、まだ確認できていませんが、多分、アプリなどでツイートの中にあるリンクをクリックしたら、サイトに飛ぶのではなくてプリロードされた AMP バージョンがアプリ内で表示されるだとか、Twitter Card の代替のようなことになるのではないかと思われます。

Google 検索で言うと、今までは、

  1. ユーザーが検索する
  2. 検索結果が表示される(タイトルとかディスクリプションとか)
  3. ユーザーがリンクをクリックする
  4. ユーザーは遷移する

という流れだったのが、今後は、

  1. ユーザーが検索する
  2. 検索結果が表示される(でかいサムネイルとかが出てる)
  3. AMP HTML が先読みされてブラウザでダウンロードされる(クリックする前に終わってる。軽いからできちゃう)
  4. ユーザーがリンク(これはリンクと呼べるのだろうか?)をクリックする
  5. ユーザーはすでにブラウザの中にあるコンテンツに飛ばされる
  6. なんなら、となりにあった検索結果にスワイプで移動できちゃったりする

という流れに変わります。

Instant Articles でも似たような感じで、今までは

  • タイムライン、フィードに流れてきたリンクをクリックしたら遷移してた

のが、

  • Facebook アプリの中に先読みされている記事がその場で表示されるだけ

みたいになる、ということのようです。動きはここの動画で見れます

検索や SNS とメディアの関係が逆転する?

さて、前置きが長くなりましたが、AMP や Instant Articles の概要を把握したところで、だからなんなの?というところについて。

要するに、サイト(メディア・ブログ・サイト)を持つということは各種プラットフォームへのパブリッシングセンターを整備することになりますよ、ということだと思います。

たとえば、メディアサイト。ニュースサイトでもアフィリエイトブログでもオウンドメディアでもなんでもいいんですけど、これまでの基本的な流れというのは、

  1. ウェブサイトを作る
  2. 広告を貼り付けたりお問い合わせフォームを作るだとかアプリのダウンロードリンクなどを設置しておく
  3. SEO 対策だとかバズるタイトルづくりだとかをする
  4. 検索やソーシャル経由でユーザーがやってくるのを待つ
  5. コンバージョンする

ということだったと思いますが、これがうまくいかなくなるんじゃないか、という気がします。今までよりもシンプルにそうはならないというか。

AMP も Instant Articles も、口を悪くしていうと、

こっちのプラットフォームにコンテンツを出しなさいよ、ユーザーは Facebook や Twitter のタイムライン/アプリ、Googleの検索結果からあんまり動きたくないんだから、そっちのほうがいいよね(ユーザーにとっては)オラオラ、こっちのプラットフォーム上でやっておくから、コンテンツだけ(文字だけ)送ってよ、そっちへのトラフィックはあげないけど。

という話なんですよね。

もちろん、AMP のフォーマットの中で広告や外部リンク(関連記事とか)を入れることはできますし、 Instant Articles でも広告が表示されて FB とコンテンツ供給者が広告(規格決まってるっぽい)で上がったお金を山分けというようなことはあるようですけど、メディア側に人が来ないです。

回遊性を高めよう!とか、Facebook の Like をしてもらおう!とか、RSS登録(古いかな・・)してもらおう!とか、今までよりも難しくなります。

この記事では AMP と Instant Articles の話に絞っていますが、Smart News への配信規格とか、Yahoo! News への配信規格とか、まあこれまでもありましたし、これからももっといろんな規格が出てくるのかもしれませんね。

数年単位の話で言えば、モバイルサイト、モバイルアプリだけではなくて、時計やらメガネやら何らかの空中でふわふわしているようなディスプレイやら脳に直送やら、なんでもいいのですけど、そういう各種メディアやデバイス(脳はデバイスじゃないけど)に対して適切な形でコンテンツを送り込むセンターとしてのウェブサイトを持とう、という話に移行していくのかもしれませんね。

この話は、昨年の WordCamp Tokyo 2015Human Made の哲学者 Noel Tock さんがしていた、 “Content Publishing in 2016” というセッションがズバリ言い当てていると思います。

このセッションでは、Instagram における National Geographic 社の取り組みなどを事例に、各プラットフォームで活躍して存在感を示すようなやり方に、パブリッシングの本質が移行していくんじゃないか、という話をしています。

(Noel Tock さんの予言に興味がある人は 2016 年の WordPress — Medium という僕の訳した記事もあるのでこちらも是非どうぞ。)

WordPress どうなる

さて、僕は WordPress が好きで、収入の大部分をこのオープンソース・ソフトウェアに依存しているわけですが、こうしたプラットフォームやデバイスなどにコンテンツを配信するようになる、という流れと、WordPress を使ってブログを書いたりメディアを運営したりすることの関係がどうなるのかについて整理したいです。

結論から言いますと、WordPress 使っててよかったー、という話になるのではないかと思います。WordPress はそもそも Publishing Tool であり、今はたまたまHTML 製造機としての WordPress が前面に押し出されていますが、コンテンツをパブリッシュする(世界に向けて、言いたいことを言う)ということで言えば、別に HTMLじゃなくてもよくて、HTML のサブセットでもちょっと変わったXMLでも json でもなんでもいいわけですね。

WordPress でよかったね、というふうに思うのは、これから、メガネ用の規格、脳みそに直接送信するための規格、スマートウォッチ用の規格、スマートカーで読み上げやすいようにするための規格とかがバンバン出てきたとき(もしかしたらひとつに統合されるのかもだけど)、いちいち対応するのは面倒だけど、プラグインを入れたらそれでいいじゃないか、という話になるのは気が楽です。別に WordPress じゃなくてもいいけど、現状を見ると対応が早いのは WordPress ですよね。

作家でプラグイン作者で破滅派社長の高橋文樹さんの WordCamp Tokyo 2015 でのセッションも同様の話だったかと思います。

キラキラした何か。

「キラキラしたナニか」を通してマルチプラットフォーム・パブリッシング!

WP API どうなる

WordPress のコア機能(プラグインじゃなくて本体の機能)として、今ホットな話題といえば WP JSON REST API なのですが、これも似たような文脈で理解することができます。

WP JSON REST API とはなんなのかというと、WordPress のデータを json で restful に配信できるようになって、コンテンツやデータを色んな所から引っ張ってきたり(サイトに来なくても)、アプリやサービスなどから追加/変更/削除できるようになったりする、という話です(ザックリですみません)。

なので、コンテンツを入れておく場所はWordPressであって、HTMLも表示できるけど json で各種プログラムと仲良く話をすることもできる、というようになる。ということはいろんなデバイスに対してコンテンツをオープンにすることができるようになるわけですね。

今は HTML のサブセットやらちょっと変わったXML を出力するためにプラグインを入れているわけですが、今後は json で配信しておくから各プラットフォームさんは勝手に持って行ってくださいな、ということになるかもしれません。

そう思うと、何が何でもこっちのサイトに人を引っ張ってきてコンバージョンしたい、というのはかなり無理筋になってきて、コンテンツを適した形で読めるように配信する、コンテンツで魅了する、作者やメディアのブランドがちゃんと伝わるようにする、そしてマネタイズは後から考える(←)、という姿勢で取り組まないといけなくなっていくのではないでしょうか。

大変ですね!

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